お金が作り出される!日銀と通貨と借金と信用創造の関係

ツイッターでフォローさせて頂いているYSさんが国債発行と徴税の役割という記事を書かれていて刺激されてしまったので、今まで自分なりにいろいろな本を読んで学んできたことをまとめたいと思ってこの記事を書くことにしました。

投資をする上での基礎知識として結構重要だと思うので自分の頭の整理も兼ねて、みなさんが常日頃から使っているお金ってどういうものなのかっていうお話です。

日本銀行のバランスシート_H30FY

上の図は、
H30年度末の日本銀行のバランスシート(貸借対照表)です。

簡単にいうと左側がどれだけの資産を持っているかということを表し、
右側がどれだけの負債(借金)を持っているかということを表しています。

これを見ると日本銀行の資産の殆どは国債(国の借金)で、
負債の殆どは日本銀行券(紙幣)と預金(当座預金)であることがわかります。

日本銀行にとって紙幣(お金)は負債に当たり、
紙幣の価値を担保しているのが国債という政府の借金の返済手形というわけなんです。

お金の歴史

金本位制度
昔々、お金(通貨)は金とか銀とかでできていました。
金、銀は埋蔵量が限られている為貴重な金属です。
っていうことで価値が認められて商品の売買に使われるようになりました。

そのうち、金は重く大量に持ち歩くのは大変なので
金の預かり所にあずけて、預かり証書をもらうことにしました。

その金の預かり証を預かり所に渡すと金を返してもらえます。

金を持ち歩くのは大変なので預かり証書を商品の売買で使うようになりました。

これが兌換紙幣の始まりと言われています。

兌換紙幣とはいつでも銀行に持っていったら金と引き換えてもらうことができるというお金のことです。

紙幣ってただの紙切れなんですけど、それに価値があるとみんなが思うのは、兌換紙幣はいつでも金と交換できるからなんですよね。

銀行のバランスシートで表すとこんな感じですかね。

ブレトンウッズ体制のバランスシート
この体制では紙幣は金の保有量しか発行できないっていうのがミソです。

また、当時はドル円レートは360円/USDの固定相場制でしたので、円も金によって価値が担保されていたと言えるでしょう。

ニクソンショック

しばらくは兌換紙幣が使われていましたが、
1971年8月15日にニクソン大統領さんがある宣言をしました。

なにを宣言したかというと

「兌換紙幣の金との交換を一時中止する!」

という宣言をしたのです。

これをニクソンショックといいます。

この宣言を行った背景には、米国の金の保有量の不足があり、イギリス等が金への交換を米国にせまった為と言われています。

いろいろな背景があったようですが、この時から不換紙幣制度が始まりました。

不換紙幣とは金と交換できないということを表しています。

いままでは、銀行に持っていけば金と交換してもらえたのに、ニクソンの声明発表の後は紙幣を銀行に持っていっても金と交換はしてもらえなくなりました。

又、それまでは1ドル=360円という固定相場制でしたが、
固定相場を維持することができず、1974年8月27日には変動相場制に移行しました。

不換紙幣になってからは中央銀行は保有する金の量に制限されることもなく、自由に通貨を発行することができるようになりました。

この制度は管理通貨制度と呼ばれており、

この時以降、現在に至るまでこの制度が続いています。


管理通貨制度

管理通貨制度っていうのは中央銀行が自由に通貨を発行できるという制度です。

自由に通貨を発行できるといっても、なんの担保も無しにじゃんじゃん紙幣を印刷していたら、誰も紙幣の価値を信用しなくなってしまいますから、やはり、何らかの担保は必要ってことになります。

兌換紙幣の時代は、金(GOLD)が紙幣の価値を担保する存在だったわけですが、

不換紙幣制度となった現在、紙幣の価値を担保しているものはなにかっていうと、
これは日銀のバランスシートの左側をみればわかるとおり、国債がそれにあたると思われます。

国債っていうのは、日本政府が借金する時に発行する債券なので、紙幣の価値を担保しているものは何かというと、日本政府の借金返済能力が紙幣の価値を担保しているということになりますかね。

言い換えると、徴税権が紙幣の価値を担保しているというふうにも言えますけど、
やはり、管理通貨制度の紙幣の価値を担保しているのは借金返済能力だと考えています。

信用創造
ところで、お金ってどのように作り出されるか知っていますか?

お金を作り出すことができるのは日本銀行だけだと思っている人って結構いるんじゃないかと思います。

自分も昔はそう思っていましたから。

けれども、お金を作り出すことができるのは日本銀行だけではないんですね。

実は普通の銀行でもお金を作り出すことができるのです。

下の図は、ある人が住宅ローン1000万円を銀行から借りる時にお金が作り出される仕組みを表しています。

信用創造

借入者が住宅ローン契約書にサインすると、銀行員は借入者の銀行口座の数字をいじって1000万円分だけ勝手に増やすだけなんです。

これが、お金を作り出されるということなんです。

借入者が気合を込めて住宅ローン契約書にサインしたその瞬間、まさにお金が創造されるのです。

これを信用創造というらしいです。

お金というものは借金があった時に初めて生まれるものなんです。

逆に言うと管理通貨制度においては借金がなければお金はこの世に存在しないといっても過言ではないくらいにお金と借金は密接に関係しているのです。

お金というのは「借金を頑張って返済するぞ!」という人の気合と、土地などの担保によって作り出されていると言えるのではないでしょうか。

管理通貨制度が破綻する時

ジンバブエ

上の写真はジンバブエという国でハイパーインフレが起きた時のものです。

ハイパーインフレとはどういうものかというと、お金の価値がどんどん下がり、物の値段がどんどん上がる状態のことです。

2008年7月には2億3100万%というものすごいインフレ率で物の値段が上がったということです。

昨年10円で買えたうまい棒が今年になったら、323,100,000円になるっていう、とんでもない物価上昇が発生するっていう状態です。

これは、ジンバブエ政府がなんの担保もなく通貨を発行したことが原因だと思われます。

他にも2007年3月と7月に特定の必需品の値上げを一切禁止したことにより、利益がでなくなったメーカー等が生産や流通をストップした為、物が不足することにより更に物価が上昇するという事態に陥っていったようです。

通貨の価値を担保するものがなければ、紙幣はただの紙切れですから、こういうことが起こり得るということです。通貨が信用を失った状態になってしまうと、こんな状態になってしまうという一例です。

デフレーション

インフレーションの反対でデフレーションも結構困った現象なのです。
デフレとはお金の価値が上がっていき物の値段が下がっていく現象のことです。

日本の失われた20年はデフレの状態がずっと続いてきたわけですが、これの何が問題かというと経済活動が停滞するのが一番の問題です。

定年退職後の高齢者等、お金をたくさん持っている消費者の立場からすると、お金の価値が下がらないし、物の値段も上がっていかないので都合が良い状態だと思います。

しかしながら現役世代(生産者)にとってみると、経済活動が停滞するので物も売れず給料も上がらず貧困にあえぐことになります。

デフレは富(VALUE)が高齢者に偏在したまま現役世代に流れて行かず、現金を持っているだけで価値が上がっていく、つまり高齢者等に向かって富が逆流していくという点で問題があります。

例えば、10億円をタンス預金していた高齢者がいたとします。

この人がお亡くなりになってそのタンス預金が誰にも相続されずに忘れ去られてしまったら、このお金は誰にも使われることはなくなりますが、その価値は放っておいてもどんどん上がっていくということになります。富がタンスの中に偏在し固定化してしまうのです。

これは、お金は経済にとってみれば血液みたいなものですから、動脈硬化を起こして血液が流れなくなっているのと全く同じ状態なのです。

デフレが長く続いた結果として、現役世代の給料は上がらず、子供を生み育てることもできない為に、少子高齢化が進むという悪循環になっているのではないかと思います。

マイルドインフレ
経済にとって一番良い状態は数%程度のマイルドなインフレと言われています。
インフレはお金の価値が下がり、物価が上がっていく為に良くない現象のようにマスコミなんかではプロパガンダされたりしますが、蓄積(ストック)された富の再分配の効果がある為、経済活動が活発になり、働く人にとってみれば一番よい状態といえます。

さっきの忘れ去られたタンス預金について考えてみても、マイルドインフレの元ではタンス預金の価値はどんどん下がっていき、最終的にはその価値は限りなくゼロに近づいていくことになります。やっぱり、そうなるべきだと思いますよね?

また、所得税は働く人だけが税負担を強いられるので税負担の公平性という意味では良くないということで、消費税が導入されたと思いますが、消費税でも消費しない人には課税はできません。

しかしながら、インフレは、現金をストックしている全ての人からストックに対し数%の富を奪って、現役世代に再分配するという効果が見込まれるので、非常に優れた仕組みだと言えます。

お金を放っておくとどんどん腐っていく世界です。

働いたり、リスクを取った人でないと成果を得ることはできない。

働かざるもの食うべからず!

働いた人が報われる。

マイルドインフレはそういう状態なので日銀や政府には頑張ってもらって、マイルドインフレが継続するような働き易く投資がし易い世の中にしてもらいたいもんですね。

日銀はインフレ目標を2%として金融緩和を行うようになりました。

ちゃんと数値目標をたててそれに向かって政策を進めていく。すばらしいことです。

日本政府の目標はなんでしょうかね?

やはりGDPを増やしていくってのを一番の目標にして頑張って欲しいもんです。

自分の目標はなんでしょうか?

特に目標ってのはなかったのですが、数値目標を掲げた日銀を見習い、

今ここに高らかに宣言したいと思います。

私KOBAの投資家としての目標はズバリ!

純資産額:10億円オーバー!

これを目標に日々精進して行きたいと思いますので応援宜しくお願いします。


参考文献)

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